近鉄の一般車は、ちょっとした仕様変更で形式番号を変えてきます。
例えばこちらの1252系。
元形式となったのは1220系です。
1220系と共通なのは制御装置の製造元が日立製作所であること。
それ以外にこの車両特有の主な要素としては、
・車体の共通化→1230系から
・補助電源装置を静止型インバータに→1249系から
・台車をボルスタレス化→1252系から
というものがあります。
特にややこしいのは、各形式とも1ないし2編成しかないような形式。
1422系列の1436系は、1436F1編成のみの存在です。
1422系との共通点と言えば、制御装置の製造元が三菱電機であることです。
そして肝心な変更点ですが、
まず1430系から加えられた統一規格車体の採用、
そして補助電源装置の変更に加え、
ボルスタレス台車の装着、
ディスクブレーキが採用されたことがこの車両の最大に変更点と言えます。
他にも滑走検知装置や路面清掃装置の設置という、この車両特有の特徴があります。
しかし今回ネタにするのはそういう類ではありません。
今回スポットライトを当てるのは、ワンマン対応の車種について。
Twitterを普段ご覧になっている方で、特に近鉄界隈の話を観た人は
ご存知かと思いますが、とある方がこれらの形式の改番と非改番絡みで
理解不能(若干誇張しています)と仰っておりました。
それを見ていて個人的に共感してしまったので、実際に近鉄における
ワンマン車種の基本的な特徴と、それに見合わない所謂例外型式を
取り上げたうえで、何故例外なのか、ということについて考えることとします。
例えば上の車両。元の形式は1200系ですが、ワンマン改造に伴い
「1201系」という形式名に改められています。
なお、最初にワンマン運転を開始した(明星に転属した)のは
1204Fとなっています。
この車両を含め1200系のグループは2両編成が10本、
そして2430系及び2410系と混成している4両がありますが、
この写真のように1201F以降の2両編成10本がワンマン化改造で
1201系に型式を変更しており、1200系は混成している4両のみの存在です。
そしてこちら。元の形式は1253系ですが、ワンマン化改造に伴い
1259系と改められています。1259F以降、1265Fから1269Fまでの編成が
1259系と改められました。
*改造を受けなかった1260・1261Fは1253系、1262~1264Fは1252系
このことから、ワンマン化改造を受けた車両の形式付与の特徴としては、
基本的に他の車種と比較して大きな差がないことが判ります。
・基本的にワンマン化改造を最初に受けた編成番号または
複数の編成がほぼ同時期にワンマン化改造を受けた場合は、
その編成の中のトップナンバーがそのまま形式番号として設定される。
1220系列のワンマン対応車種は、他に1240系1240Fが存在します。
なぜこちらは単独型式なのかということですが、
1259系の親形式と異なることがそもそもの理由です。
こちらの元となった編成は1233系となっています。
となると、少なくとも
「親形式が異なる編成同士が同一の形式を組むことはあり得ない」とも言えます。
この2点が適用される形式としては、
1021系・1031系・1201系・1240系・1259系・2444系の計6形式です。
このパターンを踏襲しつつも、割り当てる番号の都合上例外となった形式もあり、
1440系と6432系が該当します。
このうち6432系については6422Fから6429Fも6432系の仲間で、
本来であれば6422系とされるべきです。
しかしながら既に6422系という形式が存在すること、
加えてこれらの編成が後年の改造でワンマン化されて
編入という経緯があります。
というよりも、元々ずべ手6422系だったところ、6432・6433の2編成が
先行してワンマン化改造を受け6432系に変更されているため、
まぁ法則通りかと言われると法則通り、と言えます。
1440系については元々1437系という親形式が存在し、
そのうち1437・1438・1440の3編成がワンマン化改造を受けました。
本来であれば改造の受けなかった編成のうち、最古参となる1439Fの
編成名を流用して1439系、という形式が創設されるべき、というか
そうなるのが(近鉄界隈では)自然と考えるかと思われるでしょう。
しかし考えてみると、1439F以下、改造されなかった編成は、
言い換えれば仕様変更がないため、形式を変更する必要性がありません。
一方で元々の形式である1437系の元となった1437Fは、ワンマン化改造。
また、改造を受けた編成以外は高安検車区(改造編成は改造時点で富吉所属だった)に
所属していたことも幸いして(走行範囲が重複する機会が限られる)、
改造編成のうち最終編成である1440Fを
形式名に据えることで付番問題を解決させました。
一方、形式を変えない例外パターンも多数存在します。
寧ろ例外の方が法則通りの形式よりも若干多い件。
例えば、
・ワンマン運転を行う区間がごく一部に限られる場合。
補足で車掌乗務が恒常的に行われている路線でワンマン運転を行わない場合。
というものがあります。
これに該当するのが1010系・2000系・7000系・7020系・8400系の5形式です。
これらの形式はそれぞれ 湯の山線・鈴鹿線・田原本線・けいはんな線のいずれかで
ワンマン運転を行いますが、これらに接続する名古屋線の他、8400系の場合は
奈良線・京都線・橿原線・天理線、7000系及び7020系の場合は、大阪メトロ中央線でも
運用が存在しますが、これらの路線では必ず車掌が乗務し、ワンマン運転を原則として
実施していないという特徴があります。
また、8400系については別の要素も絡んでいます。
8400系は2・3・4両の編成パターンがあります。
このうち2両については最後に存在した8405・8410とも
廃車となっており、存在しません。
改造においては3両編成全てがワンマン化改造を受けたため、
ワンマン非対応の2・4両とわざわざ区別する必要もありません。
これを聞いていると、一瞬2444系と矛盾しているではないかという疑問の声が
上がるかと思います。しかしそれは誤りです。
これの親形式は2430系で、2444系に改造された2444・2445の他、
2434・2435・2436・2439・2440・2446・2447の計9編成が3両編成です。
もし下の7編成もすべてワンマン化改造を受けているのであれば、
形式変更について矛盾が生じるという反論も筋が通りやすいですが、
2444系の場合はあくまで一部編成の仕様変更に留まったため、
矛盾が生じることはありません。
これ以外にも、例外形式があります。
まず1つは1230系。
1231・1232の2編成ともワンマン化改造を受けており、
本来であれば1231系として形式変更を受けるべきです。
しかしながらこの車両、統一規格となる1233系よりも前の製造で
かつ2編成のみの存在であったため、改造前後で他形式との混同が
回避されると判断されたため、形式変更がありませんでした。
もう一つは9000系。
今まで挙げたルールをほぼガン無視決め込んでいるのがこの車両です。
まずどういうことがやってみましょう。
この車両のうち9001・9002・9005・9007・9008の5編成にワンマン化改造が
行われています。設備的には明星検車区の2両ワンマン車両と同じと考えてください。
ワンマン化改造を受けており、そしてトップナンバ―が該当する、ということは、
「9001系」と形式変更されるのが想像されやすいです。
ところが形式変更はされていない、ということは、
9000系はワンマン車でも異端の一つである、ということが言えます。
というよりも9000系の存在が近鉄ファンの間で物議を醸している、
という表現の方が正しいかもしれません。
では、異端となっている理由として先ほど挙げた運転区間の話はどうでしょうか?
9000系は2両編成で、ワンマン運転区間は1201系や1259系等と同じ伊勢中川~賢島間です。
この他にも名古屋線の列車として名古屋線全線でも運転されます。
一方で恒常的に3両編成で運転される湯の山線や鈴鹿線には入線せず、
「車掌乗務が恒常的に行われている路線でワンマン運転を行わない場合」にも
該当する、とは言えません。
では、なぜ形式変更をしなかったのでしょうか?
考えられる理由としては、元々9000系は奈良線の所属であり、1810系の
老朽化による置き換えを理由として転属してきたことにあります。
1810系はワンマン運転に対応しておらず、また勾配抑速ブレーキを
持たないため、青山峠を営業運転で越えることができず、既存の車両と
比較して運用に制約があります。
普通列車としては名古屋線のみ、急行として山田線・鳥羽線に足を
踏み入れることができますが、それ以上は現状不可能となっています。
それを置き換える目的という要素が強く、元々ワンマン運転に
積極的に入れることを考えていなかった、という強引な見方が
ありますが、転属を理由として形式変更しなかったのであれば、
2444系と矛盾が生じます(元々4両だったのを3両化してワンマン化改造した)。
どうしてこうなった…
まとめとしては、
・ワンマン改造により形式が変更される場合は、
基本的に親形式のグループの範疇を越えることが無い。
・そのグループの中で改造を受けた編成のトップナンバー、
またはラストナンバーがワンマン対応車の形式として採用されるパターンがまず1つ。
・後年の改造で編入される場合は、先に改造を受けた編成の形式として登録される。
・形式が変更されない理由としては理由が複数存在すると考えられる。
①ワンマン運転区間が限られる。車掌乗務を恒常的に行う路線では
原則ワンマン運転に充当されないパターン。
②他の車両と形態差があり、また少数編成の為既存のままでも
判別が可能な場合。
③既存車両の置き換えという別の目的があり、
元々ワンマン運転を想定しておらず、あくまで予備車両として
ワンマン化改造された場合。
以上、素人が思いつく限りの推測をしてみた、という記事でした。
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例えばこちらの1252系。
元形式となったのは1220系です。
1220系と共通なのは制御装置の製造元が日立製作所であること。
それ以外にこの車両特有の主な要素としては、
・車体の共通化→1230系から
・補助電源装置を静止型インバータに→1249系から
・台車をボルスタレス化→1252系から
というものがあります。
特にややこしいのは、各形式とも1ないし2編成しかないような形式。
1422系列の1436系は、1436F1編成のみの存在です。
1422系との共通点と言えば、制御装置の製造元が三菱電機であることです。
そして肝心な変更点ですが、
まず1430系から加えられた統一規格車体の採用、
そして補助電源装置の変更に加え、
ボルスタレス台車の装着、
ディスクブレーキが採用されたことがこの車両の最大に変更点と言えます。
他にも滑走検知装置や路面清掃装置の設置という、この車両特有の特徴があります。
しかし今回ネタにするのはそういう類ではありません。
今回スポットライトを当てるのは、ワンマン対応の車種について。
Twitterを普段ご覧になっている方で、特に近鉄界隈の話を観た人は
ご存知かと思いますが、とある方がこれらの形式の改番と非改番絡みで
理解不能(若干誇張しています)と仰っておりました。
それを見ていて個人的に共感してしまったので、実際に近鉄における
ワンマン車種の基本的な特徴と、それに見合わない所謂例外型式を
取り上げたうえで、何故例外なのか、ということについて考えることとします。
例えば上の車両。元の形式は1200系ですが、ワンマン改造に伴い
「1201系」という形式名に改められています。
なお、最初にワンマン運転を開始した(明星に転属した)のは
1204Fとなっています。
この車両を含め1200系のグループは2両編成が10本、
そして2430系及び2410系と混成している4両がありますが、
この写真のように1201F以降の2両編成10本がワンマン化改造で
1201系に型式を変更しており、1200系は混成している4両のみの存在です。
そしてこちら。元の形式は1253系ですが、ワンマン化改造に伴い
1259系と改められています。1259F以降、1265Fから1269Fまでの編成が
1259系と改められました。
*改造を受けなかった1260・1261Fは1253系、1262~1264Fは1252系
このことから、ワンマン化改造を受けた車両の形式付与の特徴としては、
基本的に他の車種と比較して大きな差がないことが判ります。
・基本的にワンマン化改造を最初に受けた編成番号または
複数の編成がほぼ同時期にワンマン化改造を受けた場合は、
その編成の中のトップナンバーがそのまま形式番号として設定される。
1220系列のワンマン対応車種は、他に1240系1240Fが存在します。
なぜこちらは単独型式なのかということですが、
1259系の親形式と異なることがそもそもの理由です。
こちらの元となった編成は1233系となっています。
となると、少なくとも
「親形式が異なる編成同士が同一の形式を組むことはあり得ない」とも言えます。
この2点が適用される形式としては、
1021系・1031系・1201系・1240系・1259系・2444系の計6形式です。
このパターンを踏襲しつつも、割り当てる番号の都合上例外となった形式もあり、
1440系と6432系が該当します。
このうち6432系については6422Fから6429Fも6432系の仲間で、
本来であれば6422系とされるべきです。
しかしながら既に6422系という形式が存在すること、
加えてこれらの編成が後年の改造でワンマン化されて
編入という経緯があります。
というよりも、元々ずべ手6422系だったところ、6432・6433の2編成が
先行してワンマン化改造を受け6432系に変更されているため、
まぁ法則通りかと言われると法則通り、と言えます。
1440系については元々1437系という親形式が存在し、
そのうち1437・1438・1440の3編成がワンマン化改造を受けました。
本来であれば改造の受けなかった編成のうち、最古参となる1439Fの
編成名を流用して1439系、という形式が創設されるべき、というか
そうなるのが(近鉄界隈では)自然と考えるかと思われるでしょう。
しかし考えてみると、1439F以下、改造されなかった編成は、
言い換えれば仕様変更がないため、形式を変更する必要性がありません。
一方で元々の形式である1437系の元となった1437Fは、ワンマン化改造。
また、改造を受けた編成以外は高安検車区(改造編成は改造時点で富吉所属だった)に
所属していたことも幸いして(走行範囲が重複する機会が限られる)、
改造編成のうち最終編成である1440Fを
形式名に据えることで付番問題を解決させました。
一方、形式を変えない例外パターンも多数存在します。
寧ろ例外の方が法則通りの形式よりも若干多い件。
例えば、
・ワンマン運転を行う区間がごく一部に限られる場合。
補足で車掌乗務が恒常的に行われている路線でワンマン運転を行わない場合。
というものがあります。
これに該当するのが1010系・2000系・7000系・7020系・8400系の5形式です。
これらの形式はそれぞれ 湯の山線・鈴鹿線・田原本線・けいはんな線のいずれかで
ワンマン運転を行いますが、これらに接続する名古屋線の他、8400系の場合は
奈良線・京都線・橿原線・天理線、7000系及び7020系の場合は、大阪メトロ中央線でも
運用が存在しますが、これらの路線では必ず車掌が乗務し、ワンマン運転を原則として
実施していないという特徴があります。
また、8400系については別の要素も絡んでいます。
8400系は2・3・4両の編成パターンがあります。
このうち2両については最後に存在した8405・8410とも
廃車となっており、存在しません。
改造においては3両編成全てがワンマン化改造を受けたため、
ワンマン非対応の2・4両とわざわざ区別する必要もありません。
これを聞いていると、一瞬2444系と矛盾しているではないかという疑問の声が
上がるかと思います。しかしそれは誤りです。
これの親形式は2430系で、2444系に改造された2444・2445の他、
2434・2435・2436・2439・2440・2446・2447の計9編成が3両編成です。
もし下の7編成もすべてワンマン化改造を受けているのであれば、
形式変更について矛盾が生じるという反論も筋が通りやすいですが、
2444系の場合はあくまで一部編成の仕様変更に留まったため、
矛盾が生じることはありません。
これ以外にも、例外形式があります。
まず1つは1230系。
1231・1232の2編成ともワンマン化改造を受けており、
本来であれば1231系として形式変更を受けるべきです。
しかしながらこの車両、統一規格となる1233系よりも前の製造で
かつ2編成のみの存在であったため、改造前後で他形式との混同が
回避されると判断されたため、形式変更がありませんでした。
もう一つは9000系。
今まで挙げたルールをほぼガン無視決め込んでいるのがこの車両です。
まずどういうことがやってみましょう。
この車両のうち9001・9002・9005・9007・9008の5編成にワンマン化改造が
行われています。設備的には明星検車区の2両ワンマン車両と同じと考えてください。
ワンマン化改造を受けており、そしてトップナンバ―が該当する、ということは、
「9001系」と形式変更されるのが想像されやすいです。
ところが形式変更はされていない、ということは、
9000系はワンマン車でも異端の一つである、ということが言えます。
というよりも9000系の存在が近鉄ファンの間で物議を醸している、
という表現の方が正しいかもしれません。
では、異端となっている理由として先ほど挙げた運転区間の話はどうでしょうか?
9000系は2両編成で、ワンマン運転区間は1201系や1259系等と同じ伊勢中川~賢島間です。
この他にも名古屋線の列車として名古屋線全線でも運転されます。
一方で恒常的に3両編成で運転される湯の山線や鈴鹿線には入線せず、
「車掌乗務が恒常的に行われている路線でワンマン運転を行わない場合」にも
該当する、とは言えません。
では、なぜ形式変更をしなかったのでしょうか?
考えられる理由としては、元々9000系は奈良線の所属であり、1810系の
老朽化による置き換えを理由として転属してきたことにあります。
1810系はワンマン運転に対応しておらず、また勾配抑速ブレーキを
持たないため、青山峠を営業運転で越えることができず、既存の車両と
比較して運用に制約があります。
普通列車としては名古屋線のみ、急行として山田線・鳥羽線に足を
踏み入れることができますが、それ以上は現状不可能となっています。
それを置き換える目的という要素が強く、元々ワンマン運転に
積極的に入れることを考えていなかった、という強引な見方が
ありますが、転属を理由として形式変更しなかったのであれば、
2444系と矛盾が生じます(元々4両だったのを3両化してワンマン化改造した)。
どうしてこうなった…
まとめとしては、
・ワンマン改造により形式が変更される場合は、
基本的に親形式のグループの範疇を越えることが無い。
・そのグループの中で改造を受けた編成のトップナンバー、
またはラストナンバーがワンマン対応車の形式として採用されるパターンがまず1つ。
・後年の改造で編入される場合は、先に改造を受けた編成の形式として登録される。
・形式が変更されない理由としては理由が複数存在すると考えられる。
①ワンマン運転区間が限られる。車掌乗務を恒常的に行う路線では
原則ワンマン運転に充当されないパターン。
②他の車両と形態差があり、また少数編成の為既存のままでも
判別が可能な場合。
③既存車両の置き換えという別の目的があり、
元々ワンマン運転を想定しておらず、あくまで予備車両として
ワンマン化改造された場合。
以上、素人が思いつく限りの推測をしてみた、という記事でした。
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