さて、かなり前に投稿し、好評(?)を得てきた「関西私鉄輸送革命」シリーズ。

今回から、次世代へ向けたメッセージへつなげる形で、
「続・関西私鉄輸送革命」シリーズを書き連ねていきます。


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時は1989年。平成に入った関西私鉄の多くでは、

朝晩に長大編成を頻発させたり、近郊区間の需要増加に伴う列車本数の増加などを
行っていました。

しかし、まだ平成に入ったばかり。車両の多くは抵抗制御が基本。

電気代もバカになりません。


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このころになると、

・界磁チョッパ制御
・GTO-VVVFインバータ制御

の車両が少しずつ増え始め、ある程度電気消費量が減っていることも
事実でしたが、それでも抵抗制御が幅を利かせる関西私鉄では、
その効果もかなり限定的でした。


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さらに、GTO素子はその機構がかなり複雑で、保守が若干面倒という
難点がありました。

果ては、GTO素子特有の静粛性の難点というものがあります。

特に起動時はそれが顕著に表れているのがお分かりいただけると思います。



そこで鉄道会社は、どうすれば静粛性を確保できるか、
再び技術革新に乗り出します。


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その走りは、近鉄でした。

1996年6月より、南大阪線用の新型特急車両として、
22000系と同車体の16400系を導入。

関西私鉄において、初めてIGBT-VVVFインバータ制御を採用しました。

・回路の一部簡略化により保守が容易に
・GTO素子より静粛性が確保できる



この2点に他の鉄道会社も惹かれたのか、

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1997年には、京阪が京津線路線改良に合わせ、地下鉄直通対応の800系を導入。

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同じ年には、山陽電鉄が5030系でIGBTを採用しました。



その後、しばらくIGBT素子の新車はしばらく導入されなかったものの、

2000年代に入ると、その動きが活発化しました。


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2000年には近鉄で「シリーズ21」と呼ばれる次世代タイプの
通勤車両を奈良地区を中心に導入。



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2001年には南海電鉄で初のIGBT車となる1000系1051Fを導入。

純電気ブレーキが採用されました。

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2002年には、京阪本線側でIGBTを搭載した10000系が導入されました。

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2003年には、阪急で初のIGBT車9300系が導入。

6300系を特急運用から撤退させ、特急の115㎞/h運転統一に貢献しました。

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かなり遅れて、2007年に、阪神初のIGBT車1000系が運用開始。

阪神の旧式高性能車両の置き換えに尽力しました。

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2008年には、神戸電鉄でIGBT車が登場しました。


抵抗制御やGTO素子の車輛と比べると少数勢力の多いIGBTですが、

それをいち早く導入し、普及に一役買った近鉄と京阪、山陽には
先見の明があったといっても過言ではないでしょう。

この先は電気消費量以上に、騒音に関しても配慮が必要であるという要求に
見事答えたIGBT素子に、賛辞を送ってやみません。




次回は、輸送の効率化の面から見ていきたいと思います。

それでは。





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