ここ最近、新型コロナウイルスの拡大による感染者の増加が止まることを知りません。
遂に東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・福岡に緊急事態宣言、
愛知・岐阜においても独自の宣言、京都は緊急事態宣言の追加が諮られるなど、
地域はもとより、日本全体への影響が非常に大きくなっている気がします。
個人的に感染者数の増加は予め予想できていたことで、
今はそれよりも死者数に焦点を当てて物事を考えた方が
良いんじゃないかとは思うんですけどね。
これ以上行くと表題から大きくそれることになるので、
そろそろ本題に入ろうかと思います。
緊急事態宣言が発表される少し前から、以下の対策を近鉄では呼び掛けてきました。
・テレワーク及び時差通勤への協力
・手洗い、うがい、アルコール消毒の積極的励行、咳エチケット
またここ最近では換気装置の作動、
一部の窓が開閉可能の旨を追加していたと記憶しています。
管理人は今月最初まで所用で大阪に出る機会があったのですが、
言われてみれば上記呼びかけにより3月後半、吉村大阪府知事が
不要不急の大阪府来訪自粛を呼び掛けて以降、混雑が若干緩和
されていたように見受けられます。
そんな中での緊急事態宣言。
松井大阪市長は、大阪メトロに週末昼間の列車本数2割削減を要請。
その他、減便、終電繰り上げなどの要請があれば、鉄道各社が
検討する姿勢を見せています。
↑出典
近鉄ではすでに特急の一部が車両を減らして運転するなど、
独自で対応しているところもあります。
そんな中、ヒステリックに
①「車両の密度が増して寧ろリスクが増すだろ」
②「逆だ。本数を増やせ」
③「それが無理なら車両を増やせ」
と声高に書き込む方々も多いようですが、実際どうなのか、
一部は個人的な観測が含まれるものの、現実を知っていただきたいと思います。
①車両の密度が増す危険
都市部を中心にこの危険は避けて通ることができないのが現状です。
普通であればマスクの着用により飛沫感染を予防できるのですが、
この大流行のおかげでマスクが品薄になっており、布製のものを
手作りして…という乗客も少しずつ増加してきています。
「東京メトロと東急 緊急事態宣言翌日の利用者6割減」-毎日新聞(2020年4月9日付)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200409-00000067-mai-soci
一方で東京メトロ・東急では緊急事態宣言翌日の利用者が
全体的に前年比で6割減少したという報道も出ています。
小池東京都知事による外出自粛要請、一部企業のテレワーク、
時差通勤、在宅勤務による効果があったものと見られます。
また、教育機関も休みとなっているところが多く、学生の
乗車に関してもそれほど多くなかったのではないでしょうか。
車両の密度に関しては、各企業の経営者がどう動くか、或いは
一般市民がどう行動するかで大きく左右されるでしょう。
しかしながら生活を少しでも維持しようと思うと、その業界で労働されている方の
通勤の足は必ず必要になってきます。
特に小売業・卸売業・通信業・運輸業・金融業の5業種はその筆頭とも言えます。
逆にそれ以外の業種に関しては、可能な限りで出社人員の削減に
努めることが、車内密度の低下に一役買いそうです。
そして一般市民は上記含む出勤、必要な物の買い出し、ちょっとした散歩以外での
外出は少なくとも宣言が出ている間は自粛する必要があります。
これだけでも車内密度はある程度緩和はされるでしょう。
②列車本数の増便
車内密度の緩和には列車本数の増便が最も良いのではないか、
という意見が散見されますが、果たしてどうでしょうか?
実際そう簡単でもありません。
一つの鉄道が保有する車両の数には限りがあります。
またそのすべてが運行されているわけではなく、ほぼ必ず
基幹となる車庫には車両が常駐しています。
近鉄でいえば検車区としての位置づけがある高安・東花園などが
そうであると考えてください。
この車庫に留まっている車両をすべて動かしたとして、
そのうち1本でも運行中に故障した時のリスクを考える必要があります。
1本でも故障すると、列車運用に乱れが生じます。
駅に停車中に発生したのであればまだしも、駅間で
発生したとなると、故障を起こした車両はおろか、
故障していない列車の車内に閉じ込められる恐れも出てきます。
また、平時に車両故障が発生した時に予備で動かせる車両を
残しておく必要があります。
加えて、列車運行に関するものは予め「ダイアグラム」と呼ばれるものに
纏められるのが基本です。
例えばこの発車標、鶴橋駅のものですが、
12時29分発河内国分行き各駅停車の後12時34分発名張行き急行が来るまでに5分、
そして急行の後の12時38分発高安行き各駅停車が来るまでの間に4分のラグがあります。
何も知らない人であれば「このラグに列車を投入すれば混雑はよりマシになる」と
考えるでしょう。
しかし、12時34分の急行が出た後すぐに向かいの乗り場から12時36分発の特急が
運転されています。この間には列車を突っ込むことはできません。
となると今度は、「じゃあ河内国分行きの後なら…」と飛びつくでしょう。
勿論理論的には可能ですが、それはあくまで机上の空論。
12時29分発の各駅停車はこの先弥刀で36分発の特急に追い抜かれます。
そして12時34分発の急行はその手前にある布施で36分発の特急に追い抜かれます。
さらに急行は29分発の各駅停車を弥刀で特急同様追い抜きます。
弥刀と布施の間には長瀬・俊徳道とありますが何れも列車追い抜きには
対応していない、相対式ホームの駅です。
仮に29分の後、31分発で各駅停車を続行で走らせたとします。
こうなると抜かれるのは続行する側の31分発となり、
29分の列車はこの先待避が可能な河内山本まで逃げます。
この間には久宝寺口・八尾の2駅があります。
各駅停車ですからこの2駅共に停車駅です。
ということは、急行・特急が少なくとも河内山本手前まで徐行運転を
強いられる形となります。
際限なく列車本数を増やすことは理屈では可能でも、
実際はそう簡単にはいきません。
③1列車に用いる車両の数を増やす
これも駅設備などが長い編成に対応しているならまぁ可能でしょう。
編成の調節が容易な近鉄や南海であれば、駅設備の容量を
超えない範囲での増車は可能です。
但しこれは、1列車が停車する駅が全て駅設備の容量を
満たしている場合に限られます。
*ドアカットに対応している名鉄などでこれを行う場合は例外が生じます。
例えば、4両編成の五十鈴川行き急行を増車するとします。
この停車駅は、
鶴橋・布施・国分・五位堂・高田・八木・桜井~榊原温泉口間各駅・中川・松阪・伊勢市・宇治山田
以上の通りです。
其々、ホームの有効長は
鶴橋・布施・五位堂・高田・八木・桜井・榛原・室生口大野・赤目口・名張
桔梗が丘・美旗・伊賀神戸・青山町・榊原温泉口・中川・松阪・伊勢市・宇治山田・五十鈴川…10両
国分・大和朝倉・長谷寺・三本松・伊賀上津・西青山・東青山…6両
となっています。近鉄ではドアカット(締め切り扱い)が出来ないので、
この場合増車するにしても2両までとなります。
また、保有車両の大半が4両以上で固定されている阪神・阪急・京阪の場合、
平日のラッシュ時に増結運用のある列車のある区間では
それに対応した設備はあるものの、大半は固定編成の長さが
駅ホームの有効長ギリギリとなっています。
例えば画像の車両が運行されている阪急神戸本線。
梅田・十三・塚口・武庫之荘・西宮北口・夙川・岡本・神戸三宮は10両編成に
対応した設備を持ちますが、それ以外の
中津・神崎川・園田・芦屋川・御影・六甲・王子公園・春日野道は8両編成以下の
対応となっており、仮にこの路線で増結運転を行うとなると、
8両対応の駅全てを通過する特急・通勤特急が10両編成となります。
もしも最混雑列車が特急ではなく各駅停車だったとしたら…
いくら特急に車両増結を行っても効果は薄いでしょう。
また、仮に車両や地上設備が整っていても、列車運行に携わる人員が
居なければ列車運行は成立しません。
列車本数を増やした結果乗務員の間に感染が広まると、
それだけで平時の列車運行ですら危うくなる可能性もあります。
よって、列車本数を増やすことなどはかなり難しいのです。
ではどうすればいいのでしょうか?
個人的にはこのどちらかがまだマシなやり方ではないかと。
①列車本数をできるだけ維持すること
②それほど混雑しない時間帯、昼間を中心に
特に需要が減少している、或いは削減しても差し支えない列車を削減してそれ以外は維持
この時期にいきなり変更を加えるくらいなら、何もしないか
ちょっとした修正程度で済ませる方が、乗る側にとっても
走らせる側にとっても負担は少ないと考えますがどうでしょう?
にほんブログ村
↑上記サイトに登録しております。
クリックお願いします。
遂に東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・福岡に緊急事態宣言、
愛知・岐阜においても独自の宣言、京都は緊急事態宣言の追加が諮られるなど、
地域はもとより、日本全体への影響が非常に大きくなっている気がします。
個人的に感染者数の増加は予め予想できていたことで、
今はそれよりも死者数に焦点を当てて物事を考えた方が
良いんじゃないかとは思うんですけどね。
これ以上行くと表題から大きくそれることになるので、
そろそろ本題に入ろうかと思います。
緊急事態宣言が発表される少し前から、以下の対策を近鉄では呼び掛けてきました。
・テレワーク及び時差通勤への協力
・手洗い、うがい、アルコール消毒の積極的励行、咳エチケット
またここ最近では換気装置の作動、
一部の窓が開閉可能の旨を追加していたと記憶しています。
管理人は今月最初まで所用で大阪に出る機会があったのですが、
言われてみれば上記呼びかけにより3月後半、吉村大阪府知事が
不要不急の大阪府来訪自粛を呼び掛けて以降、混雑が若干緩和
されていたように見受けられます。
そんな中での緊急事態宣言。
松井大阪市長は、大阪メトロに週末昼間の列車本数2割削減を要請。
その他、減便、終電繰り上げなどの要請があれば、鉄道各社が
検討する姿勢を見せています。
「大阪・松井市長、大阪メトロに週末2割減便を要請」-読売新聞(2020年4月10日付)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200410-00050219-yom-soci↑出典
近鉄ではすでに特急の一部が車両を減らして運転するなど、
独自で対応しているところもあります。
そんな中、ヒステリックに
①「車両の密度が増して寧ろリスクが増すだろ」
②「逆だ。本数を増やせ」
③「それが無理なら車両を増やせ」
と声高に書き込む方々も多いようですが、実際どうなのか、
一部は個人的な観測が含まれるものの、現実を知っていただきたいと思います。
①車両の密度が増す危険
都市部を中心にこの危険は避けて通ることができないのが現状です。
普通であればマスクの着用により飛沫感染を予防できるのですが、
この大流行のおかげでマスクが品薄になっており、布製のものを
手作りして…という乗客も少しずつ増加してきています。
「東京メトロと東急 緊急事態宣言翌日の利用者6割減」-毎日新聞(2020年4月9日付)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200409-00000067-mai-soci
一方で東京メトロ・東急では緊急事態宣言翌日の利用者が
全体的に前年比で6割減少したという報道も出ています。
小池東京都知事による外出自粛要請、一部企業のテレワーク、
時差通勤、在宅勤務による効果があったものと見られます。
また、教育機関も休みとなっているところが多く、学生の
乗車に関してもそれほど多くなかったのではないでしょうか。
車両の密度に関しては、各企業の経営者がどう動くか、或いは
一般市民がどう行動するかで大きく左右されるでしょう。
しかしながら生活を少しでも維持しようと思うと、その業界で労働されている方の
通勤の足は必ず必要になってきます。
特に小売業・卸売業・通信業・運輸業・金融業の5業種はその筆頭とも言えます。
逆にそれ以外の業種に関しては、可能な限りで出社人員の削減に
努めることが、車内密度の低下に一役買いそうです。
そして一般市民は上記含む出勤、必要な物の買い出し、ちょっとした散歩以外での
外出は少なくとも宣言が出ている間は自粛する必要があります。
これだけでも車内密度はある程度緩和はされるでしょう。
②列車本数の増便
車内密度の緩和には列車本数の増便が最も良いのではないか、
という意見が散見されますが、果たしてどうでしょうか?
実際そう簡単でもありません。
一つの鉄道が保有する車両の数には限りがあります。
またそのすべてが運行されているわけではなく、ほぼ必ず
基幹となる車庫には車両が常駐しています。
近鉄でいえば検車区としての位置づけがある高安・東花園などが
そうであると考えてください。
この車庫に留まっている車両をすべて動かしたとして、
そのうち1本でも運行中に故障した時のリスクを考える必要があります。
1本でも故障すると、列車運用に乱れが生じます。
駅に停車中に発生したのであればまだしも、駅間で
発生したとなると、故障を起こした車両はおろか、
故障していない列車の車内に閉じ込められる恐れも出てきます。
また、平時に車両故障が発生した時に予備で動かせる車両を
残しておく必要があります。
加えて、列車運行に関するものは予め「ダイアグラム」と呼ばれるものに
纏められるのが基本です。
例えばこの発車標、鶴橋駅のものですが、
12時29分発河内国分行き各駅停車の後12時34分発名張行き急行が来るまでに5分、
そして急行の後の12時38分発高安行き各駅停車が来るまでの間に4分のラグがあります。
何も知らない人であれば「このラグに列車を投入すれば混雑はよりマシになる」と
考えるでしょう。
しかし、12時34分の急行が出た後すぐに向かいの乗り場から12時36分発の特急が
運転されています。この間には列車を突っ込むことはできません。
となると今度は、「じゃあ河内国分行きの後なら…」と飛びつくでしょう。
勿論理論的には可能ですが、それはあくまで机上の空論。
12時29分発の各駅停車はこの先弥刀で36分発の特急に追い抜かれます。
そして12時34分発の急行はその手前にある布施で36分発の特急に追い抜かれます。
さらに急行は29分発の各駅停車を弥刀で特急同様追い抜きます。
弥刀と布施の間には長瀬・俊徳道とありますが何れも列車追い抜きには
対応していない、相対式ホームの駅です。
仮に29分の後、31分発で各駅停車を続行で走らせたとします。
こうなると抜かれるのは続行する側の31分発となり、
29分の列車はこの先待避が可能な河内山本まで逃げます。
この間には久宝寺口・八尾の2駅があります。
各駅停車ですからこの2駅共に停車駅です。
ということは、急行・特急が少なくとも河内山本手前まで徐行運転を
強いられる形となります。
際限なく列車本数を増やすことは理屈では可能でも、
実際はそう簡単にはいきません。
③1列車に用いる車両の数を増やす
これも駅設備などが長い編成に対応しているならまぁ可能でしょう。
編成の調節が容易な近鉄や南海であれば、駅設備の容量を
超えない範囲での増車は可能です。
但しこれは、1列車が停車する駅が全て駅設備の容量を
満たしている場合に限られます。
*ドアカットに対応している名鉄などでこれを行う場合は例外が生じます。
例えば、4両編成の五十鈴川行き急行を増車するとします。
この停車駅は、
鶴橋・布施・国分・五位堂・高田・八木・桜井~榊原温泉口間各駅・中川・松阪・伊勢市・宇治山田
以上の通りです。
其々、ホームの有効長は
鶴橋・布施・五位堂・高田・八木・桜井・榛原・室生口大野・赤目口・名張
桔梗が丘・美旗・伊賀神戸・青山町・榊原温泉口・中川・松阪・伊勢市・宇治山田・五十鈴川…10両
国分・大和朝倉・長谷寺・三本松・伊賀上津・西青山・東青山…6両
となっています。近鉄ではドアカット(締め切り扱い)が出来ないので、
この場合増車するにしても2両までとなります。
また、保有車両の大半が4両以上で固定されている阪神・阪急・京阪の場合、
平日のラッシュ時に増結運用のある列車のある区間では
それに対応した設備はあるものの、大半は固定編成の長さが
駅ホームの有効長ギリギリとなっています。
例えば画像の車両が運行されている阪急神戸本線。
梅田・十三・塚口・武庫之荘・西宮北口・夙川・岡本・神戸三宮は10両編成に
対応した設備を持ちますが、それ以外の
中津・神崎川・園田・芦屋川・御影・六甲・王子公園・春日野道は8両編成以下の
対応となっており、仮にこの路線で増結運転を行うとなると、
8両対応の駅全てを通過する特急・通勤特急が10両編成となります。
もしも最混雑列車が特急ではなく各駅停車だったとしたら…
いくら特急に車両増結を行っても効果は薄いでしょう。
また、仮に車両や地上設備が整っていても、列車運行に携わる人員が
居なければ列車運行は成立しません。
列車本数を増やした結果乗務員の間に感染が広まると、
それだけで平時の列車運行ですら危うくなる可能性もあります。
よって、列車本数を増やすことなどはかなり難しいのです。
ではどうすればいいのでしょうか?
個人的にはこのどちらかがまだマシなやり方ではないかと。
①列車本数をできるだけ維持すること
②それほど混雑しない時間帯、昼間を中心に
特に需要が減少している、或いは削減しても差し支えない列車を削減してそれ以外は維持
この時期にいきなり変更を加えるくらいなら、何もしないか
ちょっとした修正程度で済ませる方が、乗る側にとっても
走らせる側にとっても負担は少ないと考えますがどうでしょう?
にほんブログ村
↑上記サイトに登録しております。
クリックお願いします。
コメント