制御車とは、「制御」という文字が示す通り列車の走行・停車を指令する役目のある車両です。
例えばこちら2680系2684Fで言うと、画像の2782号が制御車にあたります。
制御車を表す記号として「ク」というものが存在します。
その派生版として、制御可能かつ主電動機を搭載した車両を
表す記号に「クモ」が存在します。
こちらの近鉄2610系2621Fで言うと、先頭の2621号がそれにあたります。
(但し近鉄では「クモ」という言い方はせず(*別記事で便宜上使ったことはありますが)、
「モ」だけで識別します。あくまでも例です。)
基本的にこれらの車両は全て1本の編成にまとめられます。
2610系を例にするならば
ク2710-モ2660-サ2760-モ2610
といった感じです。
*サは付随車。基本床下に搭載する機器の数は少ない
そんな中、1本の編成に含まれない付随車のような役割をもつ制御車も存在します。
身近な近鉄を例にすると、現在は高安と五位堂で機械扱いで存在する
旧1600系モ1651~1654がそれにあたります。
最もこちらの車両は登場以降の改造によって現れたのですが。
この他には2410系ク2591~2593も含まれます。
基本的にこれらは、既存編成の増結に用いられるのが殆どです。
現在では、各路線における駅設備の改良(ホーム有効長が延長されて長大編成の
入線が可能になり、わざわざ増結車両を出す必要が無くなった)が進んだことで、
先に挙げた車両は引退、または他車と1編成を組んで定期運用に充当されています。
その他、乗客の減少が進む地方私鉄でも長編成を組む必要性が無くなったことで、
一畑電車7000系のように、単行の制御電動車を導入する所もあり、
日本で単行制御車そのものを見る機会はかなり減ったように思います。
そんな中、今でも増結運用にだけ徹する単行の制御車も存在します。
画像の富山地方鉄道クハ175形がその一つです。
1981年に導入されたこの車両、見た目は14760形そっくりですが、
貫通扉を持っていません。
また、両運転台構造ではないため、単行での往復も不可能です。
*主電動機を搭載していてかつ転車台みたく車両の向きを変えられるならまだしも
殆どの鉄道会社では、先ほど挙げた要因により見られなくなった単行制御車が、
富山地方鉄道では今でも現役で使用されています。
これは現地に行かないとなぜかというのは伝わりにくいかと思います。
この鉄道会社、非常に利用客が多いです。
特に朝ラッシュの混雑は非常に激しいです。
ここ最近は元東京急行電鉄の車両の導入によって、3扉で運転する車両も
現れていますが、殆どの車両はご覧のように2扉。
接客設備もその殆どが転換クロスシート。
普通に考えれば運行に遅れが生じる可能性は十分に高くなります。
そのようなときに用いられるのがこの車両です。
以前は他形式からの改造車両としてクハ171~174が存在しましたが、
現在残るのは最初から増結を前提に製造されたクハ175のみ。
また、いくら利用客が多いとはいえその需要が昔と変わらないかと言われると
必ずしもそうではなく、特に定期利用客は減少しつつあります。
その為クハ175の運転機会も縮小傾向にあるそうな。
今のところ正式に廃車がアナウンスされてるわけではないので、
暫くの間は見られるでしょう。
しかし、クハ173・174を間接的に東急車が置き換えたため、
今後3両固定編成がまた導入されると、クハ175の立場はどうなるのでしょうか?
気になるところです。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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