カテゴリ: 小説集

1の続きです。


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8月1日から遠征というのは決定事項。

しかし、そこで全員と楽しく行動できるか、それだけが不安だった。


その不安を払拭するべく、今こうして八雲通りで撮影しているわけだが・・・・。



「そんな神妙な顔して、遠征が楽しみじゃないの?」

と、突然後ろから声が。


振り向くと、鹿目だった。


「いや、少し悩み事が合ってね。」

「主のこと?」


「いや、皆と楽しく行動できるか不安でして・・・・。」

「何だそんな心配か。大丈夫大丈夫。私が経験した修羅場よりもやさしいって。」


確かに彼女の言うとおりだ。


鹿目は、ほぼ1年に1回は騒動に巻き込まれる。

小学校時代からの相当激しいいじめに始まり、

中1でフランとレミリアの大喧嘩の仲裁(思えばこれでフランが敬語を使うように)

中2で永遠亭の騒動の収束に行ったり、見滝原で大型魔女の討伐に行ったり、

など。

その時に生死の境をさまよい掛けるほどの修羅場を経験している彼女にとっては、

私の心の状態などそこまで修羅場っているはずなど無い。



それでも・・・・・だ。


さて、どうしたものか・・・。


6の続きです。

「とりあえず、白玉楼、守矢神社、そして社員寮の空いている部屋とで3分割して、

いったん屋内で待機しましょう。」


鈴仙がこう提案した。

異論も無く、流れで決まった。



結果、敷地面積と寮の定員および空き部屋の数も考慮して、

白玉楼に30人

守矢神社に20人

社員寮に40人

で分かれて待機することになった。


社員寮は幻想郷線には2箇所あるが、

殆どは飯塚町に集中しており、

もう1箇所の桜町の方は幻想郷の住民登録を行っている者しか使用しない。

そのためかなり空きができている。


それを有効活用したのだ。




「それにしても、厄介なことになったものですねぇ」


「厄介やしそのうえ状況がややこしいことになってるから、尚更だね。」


「とりあえず、時間もあれなので、一旦待機しましょう。」



次回からは、3ルートに分かれます。

それでは。



もし戻れるというのなら・・・

「すべてを無にせよ!」

そんな彼の叫びが心に伝わってくる。



そこで思い出した。


思えばどごぞの神社の巫女もすべてを捨ててこの地にやってきたと聞く。

またある者は親を捨てて一人で生活している。

前者は全うな人間。

後者は盗みを犯すが、それ以外は全うな人間である。

しかし、いずれも死という危険に直面しながら、現実逃避をしようとしない。


それは、ただ直感で生きているだけではなし得ない。

「生きるためのなにか」

そういった希望をもつことから生まれるのだ。



ならば、今自分にできる罪滅ぼしとは、

「すべてを無」とし、「生きるためのなにか」を知るということなのか。



上等じゃないか。

やってやろうじゃないか!

彼は、あのメッセージに、こんなスタンスの言葉を残していたのか・・・!

本当にありがとう。



そうして涙がこぼれそうになった瞬間、


僕は「死」という空想から逃れたかのように、夢から覚めた。

今回は布団の上ではなく、病院のベッドの上。


その病室からは、彼の幻影が、

そしてあの夢の中でみた幻想が、映し出されているかのように見えた。


そして・・・・

もう一度瞬きをすると、もう見えなくなっていた。


今回から、新シリーズを進めていきます。

時系列的には、

優曇華、里帰りのだいぶ前の話です。

それではどうぞ。




「そういえば、最後の遠征、どうします?」

私は幻想郷立蓬莱高校3年の魂魄妖夢。

写真部に所属している。

但し、写真部とは言ってもその内容はかなり特殊だ。

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なんとここは、鉄道写真ばかりを撮影する部活なのである。

私はここの部長を務めている。

副部長には鹿目まどか

部員には東風谷早苗

四季映姫

射命丸文

鈴仙・優曇華院・イナバ(2年)

鍵山雛(2年)

河城にとり(2年)

犬走椛(1年)

などがいる。


「今までに行ってきたのは・・・・これだね。」

・天下茶屋
・十三
・塚口
・勝幡
・石切
・大和八木
・根雨
・徳佐
・津和野
・大久保(京都)
・森小路
・萱島
・崇禅寺
・淡路
・下新庄

など、活動範囲は殆ど関西地方だ。


なぜなら、部員の殆どが関西地方の鉄道を愛しているからだ。



だが、殆ど主要な駅撮りはやってしまった。

かといって、風景を絡める撮り方はほとんどやったことが無い。

やったのは上に書いてある根雨や、津和野、それに徳佐・下滝と、

紀勢線・JR宝塚線・山陰線程度のものだ。

そんなために今、どこへ遠征しようか迷っているのである。



「こういうときぐらいは、風景撮りと駅撮りのどちらもやって、集大成とするのは
どうでしょう?」

そう発言したのは、2年になる鍵山さんだった。


「だけどそれをしたら旅費が・・・・。」

と発言をする前に、

「その心配は無い。スルット関西とか、
その他諸々の費用は私が持ち合わせているし。」

と、まどかが発言した。

なんて人だ・・・。

この部活だけでも軽く十数人居るのに、それの費用をためているとすれば

この人のちょ金額は30万を軽く超える。

恐ろしい人だ。


そういえば、彼女は高校に入学してから、

要らない家財道具をすべてフリーマーケットに出して、

そこから費用を得ていると聞いたことがある。

それにしてもそんなに集まるというのなら、今彼女の部屋はいったいどうなって

いるのだろう?




そうしているうちに、

下校時間になった。


結論から言うと、鍵山さんの意見が採用された。


期間についても成り行きで決まり、

8月1日~8月8日までとなり、

宿泊費および関西までの移動代のみ自費となり、

後はまどかが負担することとなった。

なお、引率は顧問である稗田先生が率先して行うことになり、

どうにか事は収まりそうだ。

しかし、それまであと1週間、

どうなるであろうか・・・・・。


次回に続く。







5の続きです。


ではでは・・・・

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「次は、蓬莱町、蓬莱町。出口は左側です。」

早朝のこの時間帯とはいえ、

平日ダイヤで運用されるこの日は普通列車でさえ混雑するのに、

総勢96人で八雲通という、普通列車しか停車しない駅で乗車する様子は、

さぞかし私の部下であっても不自然じみていただろう・・・。



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この日は鈴仙が研修した運転士の運転だった。

鈴仙はまだ私ほどではないが、それでもそれぞれのブレーキに応じた操作のレベルは

非常に高く、それが受け継がれているようだった。

妖夢・早苗も非常に感心していた。


ところで・・・・

豊姫や、依姫、月の住民たちはというと・・・・





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「どうやらここには列車が止まれるほどのスペースがあるようね。」

だったり、色々雑談していた・・・・。


これは少しこっちの世界に引き込む必要が・・・・。


おっと、それを考えていても仕方ない。


まずは永琳の診断をしっかりと聞いておかないといけない。



そう考えているうちに、



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*イメージ   実際は阪急嵐山線嵐山駅

永遠亭に到着した。


そろそろラッシュの時間帯がやってくる。

私たち4人はこの日は非番なので、緊急時以外は基本的に休みだ。

いつもなら4人で色々やったりするのだが、

今回は事情が事情だけに永遠亭の診療所へ足早に向かうこととしよう。



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*イメージ  場所は女人堂


永遠亭の診療所に着いた。


中から足音が聞こえる。

恐らく誰かがおきている。


戸をたたいた。

すると、

「はぁ~い」

と、如何にもすこし間の抜けた返事が返り、そして戸があいた。


でてきたのは髪が長く、如何にも姫のような容貌をした人物だった。


「あら、イナバ、お帰り。そこのお方たちは?」

「私の周りの3人は職場仲間で、あとは月の住民です。」

「そう。で、用件は何かしら?」

「実は師匠に診察していただきたい人がいるんですよ。」

「そういうことね。わかったわ。永琳に伝えてくるね。」


そういって彼女は奥のほうに去っていった。


「彼女は?」

「蓬莱山輝夜といって、郷営鉄道で運転士やっているんです。」

「それだったら、もしかしたらどこかで遭遇しているかもな。」


暫くして、今度は如何にも医者の風貌を漂わせた者がでてきた。


「月の住民と聞いて思い出したのですが、そこに居られるのは豊姫様と依姫様では
ありませんか?」

「そうですが・・・。もしかして永琳様ですか?」

「ええ。今回の患者はどなたでしょうか?」


「はい。」

「豊姫様ですか。わかりました。今から診察室へ向かいましょう。
開業時間ではありませんが事情が故です。皆さんも待合室へどうぞ。」


そういってかなり広い待合室に案内された。


もちろん診察の声は聞こえない。




1時間30分ほど待っただろうか。


豊姫と永琳がそろってでてきた。



「頭部をCTスキャンしてみたのだけど、恐らくくも膜下出血ね。
言語障害がでていなかった分まだ症状は軽いけど、
とりあえず入院をお勧めするわ。」


「そうですか・・・。」

「まあでも、そんなに長期間の入院にはならないはずよ。ここ最近は患者も
少ないから。」

「それにしても鈴仙、鉄道関連で力を伸ばしたかと思えば、医学でも才能を
伸ばしてたのね。豊姫様が感心してたわ。」


「いや、単に医学書を仕事の合間によんでるだけで・・・・。」


「それにしてはかなりの知識を得ているのだと思うのだけれど・・・まぁいいわ。
手術はこの先の経過を見て3日後には行いたいのだけれど、構わないかしら?」

「ええ。かまわないわ。」


「じゃあ、とりあえず今日の所はお開きね。依姫様は少し残ってください。
他の月兎は鈴仙の指示に従って。」


そして、まどか・早苗・妖夢・鈴仙を入れた94人は、

永遠亭の診療所を退出。

この先どうやって過ごすのだろうか?


続きます。

4の続きです。

なお、設定は少し飛びますが、

既に豊姫達は和解し、地球の民を蔑むような間柄ではなくなってからの

話です。

ではでは・・・・・・。



「ここ最近疲れているって、どういう風に?」

「実は・・・・」



豊姫は声のトーンを落としながら言った。



わけが分からないがよく疲れるのだという。

「これだとよく分かりませんね・・・・。他に何かありませんか?」

「少しあるわ。」


「その症状は?」


「たまに言葉がおかしくなったりするし、ここ最近は頭の痛みが出てきたの。
それもずっと続くから、苦しいのよ。」


「鈴仙、まさかこれって・・・・」


「断定はできませんが、くも膜下出血を起こしているかもしれませんね。
恐らくそれに耐えている分、疲労がたまっているのでしょう。」


「くも膜下出血・・・・・。」

「私も師匠(ここでは永琳)の弟子ですから、大体の診断はできなくも無いです。
ここ最近、何か頭から倒れたりとか、ありませんでしたか?」


「そういえば・・・・・・」


~月の都での話し~





「なるほど・・・・・。混雑に押されて倒れて頭を強打したのか・・・・・。」


「となると、なおさらその可能性が高いですね。一度、永遠亭で診療を受けてみては
どうでしょう?」


「私も賛成するよ姉さん。」


「でもどうやって移動すれば・・・・・」

「そこは何とかなるのでご安心を。一応ことが解決すれば紫さんのところに帰る事を確約しているので。」


「だったらそうするわ。だけど、他の兎も連れて行っても構わないかしら?」

「今では幻想郷と外とが調和していますから、まったく構わないでしょう。」




「行きましょう!」




その後、他の兎とも鈴仙は和解を果たすことができた。

殆どが、

「地球での生活はどうなの?」

と質問をしてきた。

というのは別のお話。



そして、境界をくぐり・・・・。

八雲紫の前に姿を現した。



紫はそれ以外の月の住民の人数に驚いていた。

*総勢90+6(まどか達)


そして同時に、和解を果たして仲がいっそうよくなったのだと察した。


早朝時間帯なので、今から永遠亭に行っても受け付けてもらえるかは分からないが、

現在時刻は5:23分。


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次の普通列車は

5:33分なので、永遠亭の到着は5:59分。

永琳は毎日6:00ちょうどに起床するので、

どうにかなるだろう。


ということで、

早速行くことにした。


さて、豊姫の診断は如何に?


次回に続く。

続けて書いていきます。

3の続きです。

ではでは・・・・。



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何も無い更地に二人が対峙する。



「準備は良いか?」

「いつでも」


レイセンが審判だ。


「それでは行きます。始めっ!!!」


「私から行かせてもらうぞ!」

先制攻撃といわんばかりに依姫が剣を振るってきた。

しかもいきなり火を使ったものだ。


「この程度なら・・・・っ」

「そこだ!!」


「っっ、」(危ない!!)

「まだまだ私の力こんなものじゃないぞ!!」

そう依姫が叫ぶとともに、

強靭な攻撃が飛んでくる。

鈴仙は防戦一方だ。

(避けても避けても攻撃が飛んでくる・・・。
頼んだのは私だ・・・。手を打たないと・・・・・。)


「どうした!?仕掛けたんならもっとかかってこい!!!」


(こうなったら一か八かだ・・・!!)


~回想~

「優曇華、もし敵が突っ込んできたらどうする?避けるのはなしで。」

「それはもう自分から行くしかないですよね」

「その通りだね。だから、これからは困難を自分の敵だと思うといいよ。
それに立ち向かうことこそが、自分を変える第一歩だから。」


~回想終了~


(チャンスは一度きり・・・・・!!いっけぇ!!)


破壊系の攻撃を繰り出そうとした依姫に向かい、突撃した。


「なにっ!?」(まさか相打ち狙いか!!?)

依姫は当然構えの姿勢を崩さない。



鈴仙も冷静に依姫の眼前に迫り、




互いに懇親の一撃を放った。






「そこまで!!」

レイセンが状況をよんだのか、終了を勧告。


2人の短くも熱い戦いは幕を閉じた。





その後、まどかたちも交え6人で談笑することになった。


その中で、

豊姫がここ最近疲労困憊の身にあることを知った。


その中で無理して生活しているので、どんどん酷くなる一方らしい。


それならと、優曇華がある提案をすることになる。



次回に続きます。



1日1日過ごすごとに中学卒業近づいていると実感している主です。

今回は、2の続きです。

同じ書庫よりご覧ください。

また、今回については少し長くなります。

ではでは・・・・・・。



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*月なのに明るすぎるかもしれませんが、ご容赦を。


月に降り立つと、そこには1本の道が通っていた。

これが紫の言う、綿月姉妹が住む家への1本道だろう。


そう考えていると、突然、


「外界からの侵入者だ!!!捕らえろ!!」

という叫びとともに、月兎がいっせいに飛び掛ってきた。


しかし、紫たちには、あくまで武力を行使しないと宣言しているので、

攻撃できるすべも無い。


「かかれぇっ!!!!」

と、恐らく代表格であろうものが叫んだと思ったら、

突然


「静まれ!!!!」

という声とともに、月兎たちの攻撃が止んだ。


それとともに、

「鈴仙だな?その姿は。」


「その声は・・・・・まさか・・」

「その通り、私だ。依姫だ。」


そのあいだ、まどか達3人は、いつ自分たちに攻撃をしてこないかが心配だった。

しかし、


「私は綿月依姫というものです。一切抵抗しないというのであれば貴方達へ攻撃は
加えません。」


という声が届き、安堵して構えを崩した。


「とにかく鈴仙。姉さんが待っている。就いてきて欲しい。」

「はい・・・。」



その道中では、



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ちょっとした神社もあり、

その時点で、まどか達はここが神の直属の地であると言うことを察した。



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姉の豊姫がいるという屋敷に着いた。

依姫が守護である月兎と話している。



暫くすると、

守護の一人が出てきて、

「私は、ここの守護を務めている、レイセンといいます。皆さんをご案内するので、
付いてきてください。」

とのこと。


3人はそれに従った。



部屋に入ると、椅子に案内され、



鈴仙とまどか達3人と依姫&豊姫が対峙する。


話が始まった。


最初に口をあけたのは、以外にも豊姫だった。


「鈴仙、久しぶりね・・・・。」

「こちらこそ、お久しぶりです・・・。」


「地球での暮らしは、どうかしら?」

「・・・・・・」

その問に対しては、とても答える気にはなれなかった。

なぜなら、仲間を見捨てたという罪悪感と、平穏に暮らすという楽しみが

交錯していたからだ。


「ねえ鈴仙、どうしても答えて欲しいの。」


「正直、不安の連続でした。私は脱走を犯した、いわば脱兎の存在です。
それなのに平穏ばかりで入れるでしょうか?」

「なら、そこの3人の人間は?」

「彼女たちは、私の生い立ちを全て受け入れてくれた、生きるうえでの先輩
みたいなものです。」

「そう・・・・。」



「ところでだ、なぜいきなり逃げ出したんだ?私たちに何も伝えることなく。」

鈴仙は深呼吸をして、こういった。

「確かに私は、豊姫様、依姫様お墨付きの、戦闘のスペシャリストでした。
そんな私が臆病者だったというのも知っていると思います。」

「だがそんなことは関係ないだろう?本当にどうなんだ?」

「私は、敵を倒すことへの使命感にあふれると同時に、
敵を討って何が楽しいか、という疑問があったんです。でも当然いえませんよね?

その結果、私はストレスをどんどんと溜め込み、頭が何度も痛くなりました。」

「鈴仙・・・・・」

「それに、毎日の訓練で身体もボロボロになるのですから、
もう我慢し切れませんでした。正直仲間を捨てて脱走したくなんて無かった!!

でも・・・・、月でもし敵に倒されて、そのまま置き去りにされるくらいなら、
いっその事地球に行くほうがよかったんです・・・・」


鈴仙の眼は、涙であふれていた。


そして、涙ぐんでいたのは、綿月姉妹の2人も同じだった。


「辛かったのね・・・。」

「私は・・・・、自分が間違っていたのかどうかは分からない。だが、親として、
思いやる心というものを忘れていたのかもしれない。すまなかった。鈴仙。」


その瞬間、3人は和解できた。

まどか・妖夢・早苗の3人も、この瞬間を見守った。




「ところで、依姫様、私からの頼みなんですが・・・・」

「どうした?鈴仙。」


「ぜひ、私と久しぶりにお手合わせしてくださるとうれしいのですが・・・。」

「もちろん、喜んで受けよう。」



次回、和解した鈴仙と依姫とのゲームが繰り広げられることになる・・・!!



その1の続きです。

*小説集の書庫からアクセス!


あと、時系列的には少し崩壊しかけですが、

第2次月面戦争の直前となります。




ではでは・・・・・



「なるほどねぇ・・・・・」

紫はそううなずくと、頭を抱えて悩みこんでしまった。

当然だろう。

見滝原電鉄の路線は外界とのつながりの最低限のものとして仕方ないが、

幻想郷の一人の為だけにそう易々と境界を弄るわけには行かない。


第一、月というと以前に戦争を起こし敗れた相手であり、

さらに月の住人は地球を蔑視しているという話もある。

尚更弄る必要があるのか。


「その、豊姫、依姫というのは、鈴仙が月に居たときの親のようなものか?」

「はい。」

「となると、なおさら厄介だな。恐らく鈴仙が仲間を見捨てたことはすでにその2人
にも伝わっていることだろう。もし私が紫様の立場ならよく分かるのと同じだ。」

そういったのは紫の式神である藍だ。

彼女は特別私たちとかかわりを持つわけではないが、

これからを生きるうえで大事な相談相手の一人でもある。


彼女までもが、沈黙を図ろうとした。

そんなとき、口を開いたのは、

まどかであった。


「実力行使を以ってせずとしても・・・・か?」


「実力行使なしって、冗談じゃないわ。二人諸共やられてしまいよ。」

「だが、以前の戦争では武力で訴えた挙句に負けたという話だ。
それなら尚更、武力で訴えるわけにはいかないだろう。現に、向こうがいきなり
攻撃を仕掛けられるか自体も予想できない。」





しばしの静寂の後、


「それもそうね・・・・。いいわ。だけど、もし行くなら護衛で数人よこして。
綿月姉妹のうち姉の豊姫の方は地球に住んでいる民を毛嫌いする性質だから、
もしかすると攻撃してくるかもしれないから。」

「分かりました。恩に着ます。」

「ええ。」

そういうと、


まどかと優曇華は昼からの運用と、護衛をかき集めるべく、

博霊神社口の乗務員の詰所まで急いで帰っていった。





(優曇華視点)


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「お待たせしました。3番線より、急行見滝原行き出発します。ドア閉めます。」



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ドアが閉まり、ノッチを入れてスピードを上げる。

この動作にもなれたものなのだが、私はつい感慨深くなってしまった。

護衛がつくとはいえど、私自身月から生きては帰れないかもしれない。

そう思うと今度はハンドルを握る手が重く感じられた。



出発は今日の深夜だ。

最終乗務が終わった後、快く護衛を受け入れてくれた

まどか・早苗・妖夢と一緒に八雲家に行く。

そこで境界を20秒間だけ弄って貰い、月へと移動する。


せめて、辞世の句でもよむ時間は無いだろうか・・・・。




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しかし、当然かなうはずも無く、夜の運用が終わってしまった。


(優曇華視点 終わり)


「皆、そろったか?」

「はい。」

「あくまでも私達は護衛の目的でしか同行しない事をもう一度だけ言っておく。
武力を以ってしても負けるのは私たちだ。」

「それじゃあ、おねがいします。」


「わかったわ。」


そういうと、

紫は隙間を開いた。

「行ってきなさい!そしていい結果が来るのを待っているわ。」


その声に背中を押され、4人は隙間の中へ入っていった。


「必ず・・・帰るのよ・・・。」

紫は少し泣きながら、隙間を閉じた。

たまには主だって物書きの一つや二つ・・・・問題ないですよね?

なお、これにあたり、

キャラ崩壊は必須事項なのでご了承を。

また、これはある東方アレンジを参考に話を展開しています。

それでは・・・・・。


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私は、今見滝原電鉄の運転士として、

幻想郷と見滝原の輸送を行っている。






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「次駅、長谷、停目8両」

そうしていつものように換呼していると、急に妙な波長を感じるとともに、

幻聴が私を襲った。


「どうして、仲間を見捨てた?」


これが早苗や妖夢(この二人は専属乗務員という、私よりひとつ上の位)ならば、

ただの話し声に感じるのかもしれないのだが・・・・


しかし、私にはこれがただの話し声とは考えられないのだ。

なぜならこの幻聴はすでに数ヶ月前から起こっており、

しかも波長のパターンもほぼ同じだからだ。


この正体については私も察してはいた。

月にいる誰かの波長であると・・・・。


これにはただならぬ恐怖を禁じえないのが私の率直な感想だ。

しかし、これで惑わされるわけにもいかず、

ただただ気にせずに運転を続けた。



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「見滝原停車!停目確認。延着1分」


そうして乗務員室を退出し、この電鉄で最大ターミナルの見滝原の乗務員の詰め所に

向かう。

足取りはやや重くなっていた。


その道中。

「鈴仙?足取り重いけど、大丈夫か?」

そう声をかけたのは、私の同期の鹿目まどか(これも専属乗務員)だった。

彼女は元々思いやりの心が感じられる性格だが、

妖夢によると以前はこんな口調ではなかったらしい・・・・。


私は答えた。

「大丈夫です。ただ・・・・・。」

「ただ?」


「波長を感じるんです。故郷のほうから」

「鈴仙の故郷というと・・・月の事か?」

「はい・・・。それもだいぶ前から」


「そうか・・・。幻聴とかもあるのか?」

「ここ最近は特に具体的に聞こえます。」

「どんな?」

「『どうして、仲間を見捨てた?』というものですけど・・・」

「仲間を見捨てた・・・?」

「恐らく理解できないと思うので、まず私の過去から聞いてくれませんか?」

「うん、いいけど」






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「成程・・・・、つまり、他の種族との争いごとに巻き込まれたとき、
戦闘力として重宝されていた自分が実は臆病者で、逃げ出してしまい、その結果
多くの仲間を失ったということか」

「そういうことです。」


「だが後悔する暇も無いまま、永遠亭に住むようになった」

「それで間違いないです・・・。」


少し静寂が流れた後、まどかが提案した。


「その故郷に、帰ってみたらどうかな?」

「え・・・・」


そんなことできるはずが無い。

豊姫・依姫様が居られる月に、脱兎である私が行っても邪険に扱われるだけだ。

「そんなこと・・・・・」

「やるしかないよ。私も一緒に付き添うから。」

「まどか・・・」


「自分も後悔しているのなら、尚更行くしかないと思うよ?」

「そうだね!行くよ。このまま何もできないと罵られるのもいい物じゃないしね。」




次回に続く。

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